カレンが我が家へやってきたのはパシャが訓練所に入所している頃でした。
当初はパシャの帰宅後に2頭目を迎え入れる予定でブリーダーさんに問い合わせをしたのですが、問い合わせの時点で産まれている仔犬の後に繁殖の予定がないとのこと。 パシャが入所している間に迎え入れることはとても抵抗がありましたし、パシャに対して申し訳ない気持ちもあったのですが、どうしてもパシャと同じ犬舎より迎え入れたかったので久保木先生や主治医の先生にも相談させて頂き、「パシャなら快く受け入れてくれるだろう。」とのお言葉を頂いたので迎え入れる決心をしました。 念願だった女の子。躾の知識も少し得られたことだし、「向き合うとは何か?」ということも模索していた頃だったので今度こそは失敗しないようにと慎重に丁寧に育てました。 元々とても賢い子だったので、日常生活において必須である基本的な動作はすぐに覚えました。
仔犬との戦いに覚悟を決めて迎え入れたのにとても聞き分けが良く、大人しく、イタズラも全くしない。 ちっとも大変じゃなかったことに拍子抜けしたくらいです。 ただ、私が過保護に育てたせいか、かなりの小心者になってしまいました。 さらに他人や他犬には興味がなく、全くコミュニケーションを取ろうとしません。 カレンとは展覧会や競技会にチャレンジしていきたかったので「ママさえいればいい」と思っているかのような振舞いとすっかり私に頼り切って甘えている姿に不安を覚えました。 成長するにつれて改善していくことを願って試行錯誤してみたのですが、なかなか予兆が現れず、このままではこの子の良さを引き出せずに駄目にしてしまうと感じたため、一度私から引き離し、私がいなくても臆することなく振る舞えるようにと先生の元へ預けることにしました。 まだ幼さの残るカレンを預けるのは辛い選択でしたが、改善させるならどんどん吸収できる今のうちにさせておいたほうが良いと思ったのです。 ただ、基本的な動作はすでに身に付けてあったし、訓練を共に学びたい気持ちがあったので委託中は訓練を入れずに代わりに展覧会の練習と出陳をお願いしました。 2ヶ月の委託でしたが、私の心配をよそにカレンはそれなりに楽しんでいたようで、展覧会でも堂々とした姿を見せてくれました。 しかし、帰宅してみると相変わらず私に依存する態度に変わりはなく…私に原因があるようです。 現在は共に展覧会や競技会に参加して私の傍でもカレンらしさを発揮できるように取り組んでいる最中ですが、まだまだ課題は残るものの楽しむ余裕が出てきました。 もともと訓練が大好きな子で練習では素晴らしい作業を見せてくれますので、いつかカレンの努力が実を結ぶように私もパートナーとして頑張っていきたいと思います。
久保木先生ご夫妻へ 愛犬と共に競技会に出場することを夢見て訓練を学び始めたあの頃、あまりにも自分が下手すぎて競技会なんて夢のまた夢だと思っていました。 出場できたとしても地方の小さな大会で一番簡単な科目をこなすのが精一杯だと思っていました。 「いつか私の人生において出場できたら…」と思っていたほど大きく遠い夢だった日本訓練チャンピオン。 まさかカレンと一緒に出場できる日が来るなんて…。 あんなに遠いと思っていた夢が、いつの間にかすぐ近くにまで迫ってきています。 サポートしてくれた久保木先生ご夫妻には感謝の気持ちで一杯です。 これからもご指導のほど宜しくお願いします。
2012年7月